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30台の弁護士の日記です。会社勤めをした後,法科大学院を経由して,なんとか弁護士になりました。チラシの裏(=ごく私的な備忘用)なので,有益な記事はありませんのであしからず。


by VNTR
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将棋の子

Sセミの夏期講習バイトがはじまりました。なんか面白いことはないか……と思ったのですが、この1週間ほどこちらが死んでいた(苦笑)ので、何も思いつかず……淡々と講義しました。

講師の手元には、受講生の名前や高校などの名簿が回ってくるのですが、最近は個人情報保護のための大仰な添え書きが一緒についてくるようになっています。要するに、講師本人以外の目に触れないように注意せよ、ということで、ごく常識的なことです。


今日の1冊

将棋の子_b0028244_418010.jpg
『将棋の子』 大崎善生 講談社文庫


講談社ノンフィクション賞受賞作。日本将棋連盟で「将棋マガジン」の編集長を勤めていた経験のある大崎氏が、プロ棋士を目指したある奨励会会員の挫折と、その後の日々を描いた作品。

プロ棋士の門は狭く、多くの天才将棋少年が長い時間を費やしたあげくに、年齢制限の壁にぶつかって挫折していきます。将棋の世界しか知らず、いわゆる”将棋バカ”になっている元天才少年は、将棋の世界から追い出された後でどのようになっていくのか。そのひとつの例を、とても暖かな大人の視点から描いています。

……ちょっと、司法試験(現行の)と似た世界かも?

大崎氏の小説はいくつか読んでます。文庫で出たばかりの『アジアンタムブルー』とか、『パイロットフィッシュ』とか、『ロックンロール』とか。どれも大人の恋愛モノで、成熟した文体で書かれており、好きな作品ばかりです。

そうした小説の原点には、このような多くの天才少年たちを見てきた経験があったわけですね。

……ふと思ったのですけど、これだけ安定して水準の高い作品を書けるひとなのだから、当然直木賞受賞作家なのかと思ったら、もらってないんですね。候補にはなったことがあるのかな……?

そもそも、文学賞というのはどーも”なぞ”です。いい作品が受賞するとは限らないようですし……。そういえば、先日発表になった芥川・直木両賞の受賞作は、ずいぶんと地味な(笑)ところへ行きましたねぇ。個人的には、『逃亡くそたわけ』(絲山秋子)がいいと思ったのですけど、残念でした……。
by VNTR | 2005-07-21 23:59