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30台の弁護士の日記です。会社勤めをした後,法科大学院を経由して,なんとか弁護士になりました。チラシの裏(=ごく私的な備忘用)なので,有益な記事はありませんのであしからず。


by VNTR
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最判平成19年11月8日(続きその2)

↓のエントリの続きです。

疲れてきましたw   連投しているわりに中身がないエントリですし……。まぁ,書いている本人の備忘ということで。そのうち評釈はいっぱいでるでしょうし。

さて,判決そのものはいいとして,ここで気になるのは

知財高裁大合議部の判決がとった法的構成を,あっさり最判は覆したのではないか?

という疑問です。

知財高裁大合議部は,高裁でありながらわざわざ5人の裁判官の合議体で審理しているわけですが,このような大合議部(第6特別部)が新設されたのは

「知的財産訴訟の帰すうが企業活動に与える影響が極めて大きくなったことから,最高裁判所の判断まで待たずして一定の信頼性のある統一的なルールを形成してほしいという産業界の強い要請」(ジュリストNo1316 p.9 知財高裁所長(当時)篠原勝美)

に応えたものであって,要するに「司法判断の統一機能を果たす」ためだったはずです。

で,これに対しては当初から

高裁レベルでの統一機能にすぎず,最高裁で覆る可能性があるのに意味があるのか?

という批判があったのだと思います。

今回は知財高裁大合議部判決(過去に3件の判決がなされた もう1件係属したが和解になって判決に至らず)が,はじめて最高裁の判断を受けた事案であるわけですが,最初の事案から

いきなり批判が現実化した

という感じです(結論自体は大合議判決と同じですが)。

今後も大合議判決が最判で異なる判断を受ける自体が続出するようだと,大合議そのものの意義が問われる事態になるのではないかと懸念します。

(疲れたのでおわり  間違ってる箇所をみつけたらこっそり教えてください こっそり直します)

追記)

個人的には知財高裁判決の「消尽アプローチ」というか,第1類型,第2類型っていいう考え方はエレガントな構成だという気がして結構好きですので,最高裁が一括して総合考量みたいな感じにしたのは微妙……(最判らしい判断という気はしますが)。

残念ながら「生産アプローチ」と「消尽アプローチ」の対立論に踏み込めるほど知識がありません(消尽アプローチが,消尽理論の目的論的な解釈から直裁に消尽の適用範囲を画する手法を採用したとか……(ジュリストNo1316 p.38 横山久芳))。

ただ,今回の最判は,「生産アプローチ」だとしても,「特許法2条3項1号の実施態様に即したカテゴリカルな利益考量」(同上p.39)ではあるかもしれませんが,内容的には「消尽アプローチ」と同様の,具体的,実質的な利益考量をしたという印象を受けています。

実質的には,結論に差異がなければ,「生産アプローチ」のほうが直感的にわかりやすいという判断もあったのかもしれません?

遊んでないで行政法やらねば!!
by VNTR | 2007-11-08 22:07 | 法科大学院関連